カラダには400の骨格筋がある!私たちが腕をまげると、上腕に力こぶができて盛りあがります。この力こぶは、上三頭筋という骨格筋が収縮したためにできたものです。この筋肉は上腕骨にそって伸びており、その両端は腱で肩の肩甲骨と下腕の撓骨につながっています。

力こぶができるとき、つまり二頭筋が収縮したとき、じつは、上腕骨の下側にある上腕三頭筋のほうは引き伸ばされています。この筋肉の下端は下腕の尺骨に、上端は肩甲骨についています。上腕三頭筋が収縮すると腕は下がります。そのさい、一端は肩甲骨、上腕骨、他端は撓骨についている上腕二頭筋のほうは引き伸ばされます。
このように、骨格筋には収縮‐弛緩(伸びた状態)という相反する状態をとる一組が存在し、おたがいに対抗して相反する運動をつかさどるので「拮抗筋」といいます。

拮抗筋のはたらきで骨、すなわちからだの各部を上げたり下げたり、曲げたり伸ばしたりという運動をくりかえすことができるのです。

私たちのからだには400にのぼる骨格筋があって、骨を動かすことによってさまざまな身体運動を可能にしています。骨格筋が骨の数の2倍あるのは、拮抗筋の関係から理解できるでしょう。骨格筋は、必ず一つの骨の末端から、そのとなりか、あるいはもっと離れた骨にまたがって ついています。一つの骨の両端についていることはありません。

したがって、筋肉は必ず関節をまたいでいます。拮抗筋の一方の収縮によって、双方の骨が関節を中心としてたがいに近づくことになります。他方の拮抗筋が収縮すれば元にもどるわけです。そのほか、骨をその関節を中心として「まわす」運動があります。この三種類の運動が組みあわされて、複雑な動きが可能となります。

私たちは、タンパク質源として肉や魚を常食しています。ウシ、ブタ、ニワトリ、魚などの筋肉は、ほかの臓器に比べて蛋白質成分が3倍ふくまれています。ふつうの組織では、タンパク質含量は重さの10パーセント以下ですが、骨格筋では20パーセントです。食べたタンパク質は、消化によってアミノ酸にまで分解され、体内の各細胞でそれぞれのタンパク質を合成するのに用いられます。肉屋で売っている多くの肉は、筋肉のかたまりから切り取られ切り身になっていますが、トリ肉では、手羽、もも肉、ささみ(胸筋)などのように、元の形をそのまま保っています。手羽やもも肉では、皆さんも骨についたままの筋肉を観察することができるでしょう。

骨格筋の筋繊維には、血管と神経がゆきわたっています。血管は血液の流れによって、酸素を供給し、 エネルギー源であるブドウ糖を補給し、疲労物質である乳酸を運び去ります。また神経は、筋繊維に収縮を起こす信号を伝達します。
私たちはかなり重い物を手にもって持ち上げることができます。これは腕の骨格筋のはたらきによっています。筋肉は収縮によって、どのくらい力を出すことができるのでしょうか。筋繊維の一本を取り出して電気刺激すると、ピクッと収縮してすぐ元にもどります。

この収縮は「単収縮」(トゥイッチ)とよばれ、0.2秒以内に終わります。ところが電気刺激をつづけて与えると、筋繊維は強く収縮してその状態をつづけ、刺激が止んで初めて弛緩します。このような収縮を「強縮」(テタヌス)といい、単収縮のときよりも三倍の力を発生します。生理的には強縮はほとんどみられませんが、たまに足のけいれん、つまりこむらがえりを起こしたときにみられます。これは何かの理由で、神経刺激がかなりの時間連続して大腿筋に伝えられるためです。

骨格筋には白色と赤色の二通りの筋肉がみられます。白いほうの「白筋」は収縮速度が速いのですが、短時間で収縮力はなくなってしまいます。ATPを速やかに合成するミトコンドリアが少ないためです。「赤筋」は、収縮速度と張力発生が小さいのですが、持続的に収縮‐弛緩することができます

ミトコンドリアが多く、また酸素を補うミオグロビン(赤血球のヘモグロビンに似た蛋白質です)を含んでいるため赤く見えます。自筋、赤筋はその動きの性質から、それぞれ「速筋」、「遅筋」ともよばれます。筋研究によく用いられるウサギの腰筋は、典型的な白筋です。また私たちの足のヒラメ筋は赤筋の代表的なものです。

骨格筋の張力発生は、筋肉がどれだけの速度で短縮しているかで異なります。筋肉の両端を固定して収縮できないようにして電気刺激すると、もっとも大きな力を発生します。

逆立ちしてからだを両腕でささえているときとか、重量挙げのときが、それにあたります。私たちの場合、最大発生張力は、筋肉の横断面積一平方センチメートルあたり5キログラムほどです。この出力はたいへんなもので、出力を単位重量あたりで計算すると、筋肉は自動車のエンジンの70パーセントにあたります。筋肉が強力なエンジンであることがわかるでしょう。一方、骨格筋の短縮速度は、おもりをつけていないときが一番速く、一秒あたり6マイクロメートルほどです。ただし、筋肉は適切に使っていないと退化してしまいます。運動しない筋肉では筋原繊維が退化していくからです。

筋細胞では、絶えず蛋自質がこわれて消失し、新しくつくられたものに交代しています。
筋原繊維を形づくっている蛋白質は、およそ3ヵ月ほどでそっくり交代してしまうといわれています。消失と新生が同じ速度で起これば現状が保たれるわけです。

ところが、運動、つまり筋肉の収縮‐弛緩が適切におこなわれないと、蛋白質合成が低下してしまいます。筋蛋白質合成を促進するシグナルーそれが何であるかはまだわかっていません―が筋活動によって生ずるものと考えられています。運動しないため退化した筋繊維では、筋原繊維が細くなっています。逆にトレーニングを重ねると筋原繊維は太くなります。この場合、よほどの事情でないかぎり、筋原繊維の数は変わらないとされています。


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